大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和34(オ)736 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告人の上告理由について。

論旨を一貫するものは要約すれば、次のとおりである。すなわち上告人は本件建

物の増改築費用に七五万円余を投じ、その現在の価額は優に一〇〇万円を超過して

いるに拘わらず、僅々一五万円程度の競落代金しか支払つていない被上告人に、本

件建物全部の所有権を得せしめたばかりか、上告人に対し莫大な損害金の支払を命

じた原判決は上告人に対し不当に損害を蒙らしめたもので甚しく公平を害するもの

である。そして原裁判所は上告人に有利な証拠は一も採用せず故意に誤つた事実を

認定し、しかも本件に適用すべき民法、民事訴訟法の規定を誤つて解釈し不公正の

跡歴然たるものがあり、そこには所論違憲のかど明瞭であるというのである。

しかし、証拠の取捨、選択並びに事実認定は事実審裁判所の専権に任かされてい

るのであつて法律審たる当審においてかれこれ論議非難することは許されないとこ

ろであり、しかも原判決挙示の証拠に徴すればこれに基いてなされた原判決の事実

認定はすべて首肯でき、その認定の経路に特に上告人に不利益を与うべき意図の下

になされたような形跡は認め得べくもない。また右事実関係に基いて導き出された

原判決の判断は当該法律に照しすべて正当であり、その間に原審が故意に法律解釈

を誤つたというような非違は窺い得べくもない。要するに原判決には事実認定にお

いても法律判断においても、所論いうような、公平公正を害している点は毫末も認

められないのである(上告人が原判決の結果経済的に不利な立場に陥つたいうよう

な点は当審において審判のかぎりではない)。従つて所論違憲の主張もすべてその

前提を欠くに帰する。

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故に、所論はいずれも理由がなく、採用に由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 高 木 常 七

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